事務職の種類と仕事内容を解説!違いを理解して向いている事務職を見つけよう!
事務の仕事はデータ入力や電話応対が基本になりますが、どの分野の事務を選ぶかで仕事内容がまったく異なります。
「未経験OK」の求人が多いのは一般事務や営業事務で、経験者に限定されやすいのが法務事務や貿易事務です。
法律や語学力など特別なスキルが求められる仕事もあるので、どんな職場を選ぶかで働き方や適正が変わってきます。
事務の仕事をお探しの方は、事務職の種類について理解を深め、自分に合った仕事を探しましょう。
一般企業で働く事務職の種類
企業にはさまざまな事務職がいて、それぞれの持ち場で力を発揮しながら業務を遂行しています。
ここでは8つ職種とそれぞれの仕事内容を紹介しますので、職種による違いを理解しましょう。
一般事務
事務の代表格ともいわれ、データ入力や電話・来客応対などのオフィスワークをするのが一般事務です。
そのほかファイリングやデータ集計、郵便物の仕分け、会議室の予約などが主な仕事内容になっています。
中小企業のように人数が限られた企業では、経理や庶務などを任せられることも多いようです。
ただし特殊なスキルは不要なため、求人では「未経験OK」「経験不問」などで募集され転職のハードルも低くなっています。
営業事務
営業事務は名前の通り、営業部に所属している事務のことを指します。
一般事務と同じく、データ処理や電話応対がありますが、営業スタッフのサポート業務がメインです。
見積書の作成や納品書作成、受発注処理、売上管理など、業務内容は多岐に渡ります。
また営業は基本的に外出が多いので、顧客からの問合せやクレームにも対応しなくてはなりません。
そのほか仕入れ先との納期調整や客先への出荷指示などもあり、事務の中でも仕事量は多めになっています。
顧客や仕入れ先、社内の関係部署など多くの人と関わるため、コミュニケーション能力や交渉力が必要です。
担当する営業マンとの相性も大事で、性格が合わないと仕事がうまく回らなくなってしまうでしょう。
経理事務
経理事務は会社のお金の動きを管理するのが仕事で、計算能力や簿記の知識が求められます。
主な仕事内容は、売掛や買掛などの伝票処理や経費精算、請求書発行や銀行振り込みなどです。
月次決算や年次決算の時期は忙しくなりますが、定時で帰れることが多いでしょう。
簿記の知識がなくても転職は可能ですが、ベテラン社員の退職による募集の場合は、即戦力のある経理経験者が採用されます。
経理はどんな企業でもかならず必要とされる職種ですので、1年を通して求人のニーズが高めです。
また転職しても基本的な業務内容は変わりませんので、「転職しやすい」「専門性が身につく」という意味でも人気の職種になっています。
総務事務
総務は「企業の何でも屋さん」と呼ばれ、社員が働きやすい環境を提供するのが仕事です。
株主総会の準備や冠婚葬祭の手続き、社内イベントの運営を担当するほか、コピー用紙の補助や電球交換、文房具や消耗品の発注なども総務事務が担当します。
仕事内容は地味かもしれませんが、「企業の影の立役者」ともいわれる重要なポジションです。
中小企業やベンチャー企業では、総務・人事・法務をひとつの部署に収縮しているところもあり、労務関係の仕事や社員の給与計算など幅広い業務をこなすこともあります。
人事事務
人事事務は人事部に所属し、社員の入社・退職手続きや給与計算、社員情報の管理などに携わります。
また社員の教育制度を整えたり、賃金制度の見直しをしたりするのも人事の仕事です。
企業にとって大切な「ヒト」に関わる業務全般を扱い、「どの部署にどんな人材を配置するか」「来年度の新卒採用は何人にするか」など、人材配置や採用計画にも関わります。
人事は特別な資格やスキルは必要としませんが、多くの人と接するのでコミュニケーション能力が必要不可欠です。
また労務や雇用など、法律に触れる機会も多くなります。
法務事務
法務事務の仕事は、売買契約書や秘密保持契約書、業務委託契約書の作成や、それにまつわる事務作業がメインです。
新しい顧客や仕入れ先と取引を開始するとき、「自社にとって不利益な内容はないか」を確認し、法的トラブルを防止する役目を担っています。
求人では実務経験者を募集することが多いため、未経験でチャレンジする場合はこまめに求人サイトなどをチェックしましょう。
資格は不要ですが、社会保険労務士の資格保持者や法務部出身者は優遇されます。
貿易事務
貿易事務は企業間の貿易に関わる仕事で、語学力や為替の知識が求められます。
海外との取引がある商社やメーカーに多い職種で、貿易書類の作成や通関手続き、輸送手配や請求・入金管理などが主な仕事です。
また海外に駐在する営業スタッフのサポート、工場とのやりとり、出荷指示や在庫管理などにも携わります。
海外とのやりとりは時差が生じることもあり、メールが基本となるので、英文での読み書きができれば問題ありません。
「語学力を磨きたい」「英語力を活かした仕事がしたい」という人にピッタリで、実務経験を重ねれば外資系企業への転職も可能になります。
受付
受付は「企業の顔」として、来客者の対応や取り次ぎ、応接室への案内などが仕事です。
またそれに付随する、応接室の予約や送迎車の手配、電話応対、デスクワークなどもこなします。
多くの人と接するのでコミュニケーション力はもちろん、丁寧な言葉遣いやビジネスマナーが求められ、アポイントなしの来訪者に対する臨機応変な対応力も必要不可欠です。
企業によっては語学力が必要なケースもありますが、しっかりしたマニュアルが完備されていることが多いため、未経験でもチャレンジしやすい職種となっています。
コールセンター
コールセンターの仕事は、お客様からかかってきた電話に対応する「インバウンド業務」と、こちらから電話をかけ自社サービスを売り込む「アウトバウンド業務」の2つに分けられます。
インバウンド業務には、商品の注文やお問い合わせに対応する「テレフォンオペレーター」、商品やサービスについての相談や疑問が寄せられる「カスタマーサポート」と呼ばれる職種があります。
アウトバウンド業務には、お客様に電話をかけ自社の商品・サービスを営業する「テレフォンアポインター」、通称「テレアポ」などがあります。
テレアポはノルマが課せられたり、心ない言葉を浴びせる人もいたりして、精神的にも負担がかかりやすい業務です。
しかし成績がよければインセンティブが支給され、給料もアップしやすいというメリットがあります。
医療・介護の現場で働く事務の種類
次に、医療や介護業界で働く事務について紹介します。
医療事務
医療業界で働いたことがない人も、病院やクリニックで「医療事務」と関わった経験があるのではないでしょうか?
診療に行くと、受付や窓口で保険証を預かったりカルテを作成したりするのが医療事務の仕事で、診療報酬点数に基づいた会計や電話対応なども行います。
医療事務は専門的なスキルは不要ですが、転職やスキルアップを目的に資格取得を目指す人も多いようです。
歯科事務
歯科医院で働く事務を歯科事務といいます。
仕事内容は患者さんの受付や予約、会計業務がメインですが、クリニックによっては歯科助手を兼任するケースもあるようです。
その際は、診療に使う器具の準備や消毒、後片付けなどを行います。
しかし歯科事務、歯科助手ともに患者さんへの治療行為はありませんので、資格は不要です。
歯科事務として働くメリットは、都心でも地方でも至るところに職場があるところではないでしょうか。
また少人数で仕事をこなすので、「自分のペースで仕事ができる」「アットホームな環境で働ける」など、長く続けやすいのも魅力のひとつです。
介護事務
高齢化が進む日本において、人材不足という社会規模の問題を抱えているのが介護業界です。
そのため求人も豊富で、経験を問わないところがメリットになっています。
介護事務は施設においての事務全般を担当しますが、中でも「レセプト」と呼ばれる介護給付費明細書の作成がメイン業務です。
そのほかにも、電話や来客対応、施設の備品管理や発注、スタッフの勤怠管理、社員の入社・退社手続きなどにも携わり、ケアマネージャーと呼ばれる施設の責任者をサポートすることもあります。
資格は不要ですが、レセプトを作成するため専門的なスキルを身につけなくてはいけません。
介護施設はますます増えていくと予想されるので、介護保険制度の知識や専門スキルは重宝されるでしょう。
調剤薬局事務
調剤薬局において、薬剤師のサポートをするのが調剤薬局事務の仕事です。
患者さんの受付や処方箋のチェック、レセプト作成、会計などに携わります。またお薬手帳の発行や待合室の整備も仕事のひとつです。
医療や調剤の知識は不要で、資格もいりません。
未経験でもチャレンジできますが、求人が少なく競争率は高めになっています。
ライバルに差をつけたいなら、「調剤事務管理士」や「調剤報酬請求事務専門士3級」などの資格を取得するのもオススメです。
調剤薬局はどんな場所にもあるので、引越しや家族の転勤があっても新しい職場を見つけることができます。
また正社員・派遣社員・パートなど、ライフスタイルに合わせて雇用形態を選べるのもメリットです。
その他の事務の種類
次に、少しめずらしい事務職を紹介します。
裁判所事務官
裁判所事務官の職場は、「裁判部」と「事務局」の二つに分かれます。
裁判部での仕事は、裁判に必要な事務処理や手続き、裁判所書記官のサポート業務がメインです。
事件に関する資料集めや必要書類の回収や発送、弁護士や法律事務所の対応、裁判記録の整理なども行います。
事務局では人事や庶務、会計などが主な業務となっており、裁判所を運営するための事務業務を一貫して行っています。
裁判に関わるのではなく、裁判部で働くスタッフをサポートする役割です。
検察事務官
検察事務官になるには、国家資格が必要です。
事件の捜査に当たる検察官をサポートするのが検察事務官の役目で、検察官の指示を受け、捜査や公判に関わることもあります。
また取り調べの立ち合いや逮捕状の請求、差し押さえや捜索といった権限が与えられているのも特徴です。
そのほかにも、資料作成、電話・来客応対、総務や会計など、マルチに活躍できる職種となっています。
学校事務
名前の通り、大学や高校、小中学校や専門学校などで働く事務が「学校事務」です。
仕事内容は施設の備品や教材の管理、発注や資料作成から、教員の経費精算や給与計算、生徒や保護者に対する窓口対応なども含まれます。
また学校説明会やオープンキャンパスの実施、学生の在籍管理や各種書類発行など、非常に多岐にわたる業務となっています。
事務職の主な仕事内容とは?
さまざまな事務職を紹介してきましたが、どの事務職にも共通する仕事内容を詳しく解説したいと思います。
書類の作成・処理
企業を運営するために必要な書類を作成するのも事務の仕事です。
作成した書類データは印刷して保管したり、関係部署に配布したりして、必要な情報を共有します。
書類の作成にはオフィスソフトを用いるのが一般的です。
WordやExcelを使用したことがない人は、基本操作までできるように勉強しておきましょう。
データ入力
部署によってデータの内容は異なりますが、経理事務なら買掛金や売掛金、営業事務なら売り上げや仕入れ金額などを入力することになります。
数字は一桁でも間違うと大変なことになってしまうので、二重チェックや集中力が必要です。
書類のファイリング
契約書や注文書、見積もりや請求書などを専用のファイルにファイリングして保管します。
紙ベースでのファイリングからデータでのファイリングに切り替わってきましたが、まだまだ紙を重視している企業も多いようです。
電話・来客対応
顧客や取引先からの電話や来客に対応するのも事務の役目です。
電話で問い合わせを受けたら内容を伺い、担当者や専門の部署に回します。
来客は受付が対応することが多いですが、受付スタッフがいない企業では事務が対応することになります。
応接室へ案内してお茶を出し、後片付けなどの雑務も行います。
その他こまごまとした雑務
郵便物の仕分けや配布、買い出しや掃除、銀行へのお使いなどを任せられることもあります。
企業規模が小さいほど幅広い業務をこなさなければならず、キャパオーバーになってしまう事務員さんも少なくありません。
しかし小規模な企業で経験を積めば、経理や庶務、営業事務など多様なスキルが身につくのは魅力です。
事務職に求められている3つの特徴
未経験からチャレンジする場合、事務職に向いているかを考えることが大切です。
「簡単そうだから」という安易な理由で転職すると、入社後にギャップを感じてしまうかもしれません。
事務職に求められる3つのスキルを理解して、事務職を続けられそうか確認してみましょう。
作業の正確性
事務職は依頼されたことを着実にこなしていくことが大事で、ミスが許されません。
作成した書類や入力したデータが間違っていると、会社や取引先に迷惑がかかってしまいます。
- 仕事がおおざっぱ
- 集中力がない
- 学ぶ姿勢が低い
このようなタイプは、事務職に大切な要素が備わっていない可能性が高いです。
パソコン・officeソフトのスキル
事務の仕事はパソコンを使用することがほとんど。
そのためofficeソフトが使えないと仕事ができません。
事務職が初めてという人は、WordとExcelの基本操作ができるようになっておきましょう。
また企業は独自のシステムを使用していることも多いですので、最低限のパソコンスキルを身に付けておくことも大切です。
円滑なコミュニケーションスキル
パソコンスキルがどんなに高くても、周囲とのコミュニケーションが図れない人は事務職に向きません。
中には、「事務なら人付き合いが少なそうだから」という理由で事務を目指す人もいるようですが、その考えは改めたほうがいいでしょう。
事務のように、他部門と深く関わる職種はほかにありません。
とくに営業事務は顧客とも仕入れ先ともやりとりが多く、営業に変わって社内調整を任せられることも多いです。
そのため面接では、「協調性はあるか」「自分の意見をきちんと述べられるか」をチェックされます。
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